お役立ち情報2

1生ごみの量と最高温度
2米ぬかの効果
3米ぬかとラード
4生ごみの堆肥化はCO2削減に寄与するのか

1生ごみの量と最高温度

 四人家族の一日に出る生ごみの量は平均300gとか言われます。これはあくまで平均値で、実際のところは、毎日大きく変動しているし、私の家ではもう少し少ないようです。私は一応その日投入する量を台所用の計量器で測定しています。何をどれだけ入れたらどのくらいの温度になるのか目安を知りたいと思ったからです。では、測定していて、投入重量と最高温度の間に相関関係はあったのでしょうか。下のグラフはある期間の投入量(g)と最高温度の分布を示したものです。私は時々米ぬかを投入することがありますが、このグラフには米ぬか投入時の値は入っていません。

 このグラフで投入量が多ければ、温度が高くなるごくごく弱い関係を示しているようですが、回帰曲線のR2(相関係数)は二つの変数の間にはほとんど相関がないことを示しています。投入量が300gでも64℃ぐらいになるときもあれば、500gでも50℃にしかならないことがあります。しかし、これは両者の間に相関がないのではなく、他の因子例えば投入物の質、母材の含水率、空気を含む割合や外気温その他の因子が一定でなく、制御できていない結果だと思われます。逆に言えばそういう因子をきちんと制御することは簡単ではないことを示している図と理解したほうが良いということなのでしょう。

2米ぬかの効果

 米ぬかは母材の温度を上げることに効果があることは他でも指摘されています。実際にどの程度温度を上げる効果があるのでしょうか。他の生ごみを投入せず、米ぬかだけを入れてよくかき混ぜることでどれだけ温度が上がるかを確認してみました。

 母材がなるべく安定して、水分過多でもなく、過少でもないようにできるだけ調製した状態で、米ぬかだけを40gから130gまで加えて、それぞれ達成される最高温度をグラフ化したものを示します。

 横軸は投入した米ぬかのグラム数、縦軸は達成した最高温度を示します。開始時点の温度は25℃から30℃とばらつきはありましたが、米ぬかの投入量に応じて最高到達温度も上がっていくのが見て取れます。R2も0.94あり高い相関があることを示しています。米ぬかだけでも130gも入れれば60℃に達することがわかりました。

 実際に、生ごみ〈272g〉と米ぬか(64g)あわせて336gを投入したときの温度曲線を示します。横軸は投入後の時間、縦軸は温度を示しています。

 生ごみだけでも、米ぬかだけでも多分60℃を越えることはなかったと思われますが、両方の相乗効果で66℃にまで上がりました。最高温度に達したのは約7時間後でした。このグラフに示したように米ぬかを加えると初期に急激に温度が上昇する傾向があります(ホームページ冒頭のグラフと比較すると良くわかる)。これは米ぬかが微粉末のために攪拌すると一気に分解反応が起きるためだと思われます。ただしこのデータは私がやっている母材の質・量の場合です。すべてのケースに当てはまるわけではありません。

 米ぬかには窒素やリン酸が含まれるため完成した堆肥の肥料効果を高めるという利点もあります。(染谷孝「土壌微生物の世界」P116)

 ただし、我が家にとって米ぬかは生ごみではありません。JA の直売所で時々商品で出てくるのを買ったり、精米所で譲ってもらったりしたものです。精米所は発生した米ぬかを米ぬか油の製造所に商品として売っているはずです。まだ商品価値のあるものを堆肥化するのは好ましくないはずです。私も米ぬかは堆肥化材料には使わないように心がけようと思っています。

3米ぬかとラード

 生ごみとともに米ぬかを投入すると母材の温度は生ごみだけの時よりかなり上昇します。

 米ぬかは微粉末であり、母材に良く混ぜ込むと、母材のいたるところに存在している菌が米ぬかに対して働き始めて分解が進むので一気に温度が上昇します。米ぬかは100g当たりのエネルギーが374calと高い。生のキャベツでは23kcal、生のキュウリは13kcalしかありません。この高カロリーであることが、温度を高く引き揚げます。

 高カロリーのものとしては例えばラードなどもあります。885kcalと米ぬかの2.4倍もあります。しかしラードは普通は塊です。ですから、米ぬか100gの表面積に比べてラード100gの表面積は千分の一もないでしょう。だからいくら母材に菌が沢山いても、全部がラードの分解に寄与することはできません。温度は確実に上昇しますが、それは急激ではありません。

 他の高エネルギーのものに油もあります。例えば100gのごま油は890kcalあります。ラードと同程度です。これは液状ですから、母材に加えてかきまぜれば母材全体にいきわたります。従って急激に昇温し、しかも高い温度に達するでしょう。(実は私はまだやったことがないのですが)

エネルギー値は文部科学省「食品成分データベース」による

4生ごみの堆肥化はCO2削減に寄与するのか

 「ダンボールコンポスト」はエコだ、環境にやさしいとか言われますが本当でしょうか。以下は私の考え方です。

 堆肥化される生ごみは食べ残しや調理くずの野菜など様々なものがあります。いずれにしてもそれらは、有機物で、元素としては炭素や酸素、水素、窒素などから作られています。そして有機物の他に多量の水を含んでいます。家庭や、食堂・レストランなどから出る生ごみは堆肥化や豚の餌にされるのでなければ、それらは焼却ごみとなってしまいます。ごみ収集車によって集められた生ごみはその他のごみとともに、焼却炉に投入され、燃やされます。そうすると炭素は全量炭酸ガスになり、空気中に放出されます。

 堆肥化されると生ごみはどうなるでしょうか。糸状菌や放線菌によって、生ごみは分解され一部の炭素は炭酸ガスになり、水素や酸素は水になります。また、含まれていた水は、分解生成した水とともに、熱により蒸発するか母材に取り残されます。一部の炭素と水は増殖する菌の体に取り込まれます。増殖した菌はいずれ死滅し、母材の中に取り残されます。つぎつぎに投入される生ごみの炭素の一部は炭酸ガスになり、一部は増殖してまだ生きている菌に、そして多くはもう死滅した菌ということになります。

 果たして投入された炭素の何%程度が母材の中に残るのでしょうか。ある本(1)によれば50%と書かれています。ChatGPT と会話していたら30%と言っていました。生成AIは知ったかぶりをするといいますから、真偽のほどは分りません。 今のところ、実際にどの程度の割合で母材の中に残留するのか私は確かな答えを持ち合わせていませんが、いずれにしても、燃やせば、炭素の全量が炭酸ガスになってしまうのに対して相当の量が母材の中に残されるということが大事です。

 以上は直接的なCO2削減の話です。そのほかに間接的な効果もあります。それらを簡単に紹介します。

①生ごみは水分を80~90%程度含んでいます。この水は焼却炉の温度を低下させる悪影響を与えます。いまの焼却炉は発電設備を備えていますから、発電効率を悪化させることになります。生ごみの量が多く燃えにくい時には助燃材として重油を加えて燃やすことがあります。これではもろに余分なCO2を発生させることになります。

② 生ごみも燃やせば焼却灰が出ます。紙を燃やせば灰が残るのと同じです。これはほかの焼却物から出た灰とともに埋め立てられるのが一般的です。埋立地には限界があります。そのためにも焼却ごみとしての生ごみの減量が求められます。

③完熟たい肥の肥料成分の分析例に次のようなものがあります(2)。資料数30で N(全窒素)2.7%(分析結果の範囲は0.7~7.1%) P(P2O5)1.9%(0.1~5.2)、K(K2O)1.5%(0.1~2.9) 肥料成分を含むものの、ばらつきがかなりあります。生ごみから作られた堆肥には土壌改良剤としての作用とともに、窒素・リン酸・カリの肥料三成分が含まれています。これを有効に使えば、通常使われる化成肥料などの量を減らすことができます。化成肥料などは大量のエネルギーを消費して造られています。このエネルギー消費を削減できます。

④一般家庭の生ごみをごみ集積場所に出すと行政のごみ回収車が回収に回ってくるのが一般的でしょう。生ごみを家庭内で処理すれば、回収量を減らして運搬に伴うガソリン(軽油)の使用量を減らし、CO2の排出を減らせることになるでしょう。

 以上のように「ダンボール箱による生ごみの堆肥化」は焼却ごみとして出してしまえば温暖化ガスである炭酸ガスを発生させてしまうのを、50%だか30%だかはわかりませんが削減できることは間違いありません。

(1)タクマ環境技術研究会編『基礎からわかるごみ焼却技術』オーム社2017年

(2)染谷孝『人に話したくなる土壌微生物の世界―食と健康から洞窟、温泉、宇宙まで―』築地書館2020年

《2025年7月3日追記》
『土と内臓ー微生物が作る世界―』(デイビット・モントゴメリー+アン・ビクレー著 片岡夏実訳 築地書簡 2016年)の中に次のような記述がある。
(やせた土地にコーヒかす、落ち葉、草食動物のフンのたい肥など有機物を大量に散布した後での記述)
「腐りかけた有機物中の炭素のおよそ半分が、養分豊富だが腐りにくい混合物となって土壌の中にとどまり、自然界にある何よりも肥沃度を高める。もう半分は腐食過程で大気中に失われる」(P15)
「土壌生物は有機物の炭素をおよそ半分だけ消化、呼吸し、残りを腐植の名で知られる色が濃く耐腐朽性のある炭素化合物として残す」(P114)

 この本の記述は、上記のタクマ環境技術研究会編の書籍と同様、堆肥化される有機物中の炭素の50%程度が土壌中に残留すると考えているようです。



野村モミジの紅葉
2024年11月