堆肥は完熟している必要があります。もし、まだ投入した生ごみの有機物がたくさん残ったままの状態で、畑や植え替え用の植木鉢の用土に加えると、土壌中の微生物が残ったままの有機物を利用して活発に活動し微生物が増殖する過程で土壌中の窒素を大量に消費してしまい、これから成長しようとする植物には窒素が不足してしまうことになります。これを”窒素飢餓”と言います。未熟な堆肥を土壌に加えるのは厳禁であり、堆肥は完熟させなければいけません。この完熟させる過程を熟成と言います。
一般に熟成には1か月から1か月半を要するといわれています。この間、「時々かきまぜるだけで置いておくだけでよい」とか「最初の10日間ぐらいは2日に一回かきまぜる」とか、処置から手数を省いていいような説明が多くみられるようです。しかし、私は基本的に可能であれば毎日攪拌を行います。何もしないで放置しておくと、母材の温度は下がり、新鮮な空気は減っていきます。残渣の有機物の分解は攪拌と必要に応じた加水によって早まります。
実際の毎日の温度変化の例を見てみましょう。このグラフは日々の最高温度を示しています。最初の三日間はまだ熟成前で、生ごみを入れている状態で50~60℃の温度を示しています。熟成開始前はなるべく高い温度になるようにして、生ごみの分解が進むようにと私は心がけています。そのほうが熟成に入った時の生ごみ(有機物)の残渣が少なくなると考えられるからです。できれば60℃以上にしておきたかったのですが、この時はそうならず、熟成に入りました。グラフの4日目からが熟成が始まります。

熟成初日。生ごみを入れず、攪拌だけしておいたら最高温度は前日の55℃弱から35℃弱まで落ちてしまいました。それから徐々に温度は低下し、熟成開始10日目(グラフの13日、以下同じ)に最高温度は20℃になり、以下も凸凹はありながら温度は低下します。次のグラフは私は「上昇温度」と呼んでいますが、攪拌終了後の母材の温度から、温度上昇し最高温度に至るまでの温度差、即ち、”上昇

温度”をグラフ化したものです。熟成初日(4日目)からのデータを示しています。熟成初日は最高温度もあまり上がらなかったため、上昇温度は1℃しかありませんでした。しかし、2日目は加水をしたために上昇温度は12度あり、最高温度も少し下がっただけでした。グラフでデータポイントに〇をしているところは加水した日です。上昇温度も日を追って低下していきますが、加水した日には前日より上昇温度が高くなる傾向を示しています。最後に加水した熟成19日目(22日目)は前日と同じ程度の2℃しか上昇せず、その後はさらに上昇温度も低下しています。もう、母材は真っ黒で、サラサラした状態にもなっています。熟成も完了したと考えられます。開始から21日、3週間で熟成を完了させることができました。毎日攪拌し、時に応じて加水をすれば熟成期間は3週間ぐらいまで短縮できます。何もしないでおいて、3週間たったからもういいとすると、未熟なままで、漉き込んだ畑は窒素飢餓を起こして、作物をとれなくしてしまいます。くれぐれもご注意のほど。

ヒヤシンス
2025年3月
