| 1温度変化の実際 2生ごみの質と量のこと 細かく刻むこと 3母材の攪拌が重要―好気性菌には空気が必要 4母材の含水率 5温暖期と寒冷期 624時間後棒状温度計での管理 7熟成前の母材の様子 |
1温度変化の実際
立ち上げ期間が終了し、実際に生ごみの堆肥化を進める間、母材の最高温度はどのようになるのでしょうか。次のグラフは堆肥化の中間期間のうち60日間を抜き出して、生ごみを投入して攪拌してから8~15時間後頃に現れるに最高温度と次の生ごみ投入前(前回投入の約24時間後)に棒状温度計で測定した温度をプロットしたものです。

最高温度は毎日大きく変動しています。棒状温度計の温度はその最高温度から低下してきた温度になりますから、大略20℃前後低く似たような上下動をしています。この温度変動は投入する生ごみの量と質、母材の含水率、などの影響を受けますが、なるべく温度を高く保つにはどうすればよいのかという観点から、以下述べてみたいと思います。
2生ごみの量と質のこと、細かく刻むこと
投入する生ごみは調理くずか食べ残しかでしょう。この量と質は調理の仕方や食事の仕方の結果であって制御はできません。しかし母材に投入する前にすることはあります。一つ目はよく水切りをして、意図しない水の量は減らしておきます。二つ目は生ごみを細かく刻んでおくことです。母材に投入された生ごみは微生物(菌)によって分解されますが、分解はその表面から始まります。いきなりその内部からは始まりません。じゃがいもや里芋の煮たものでも、大きなものでは一日で分解されないこともあります。三つめは例えば豚小間肉の脂身や鶏肉の脂身や皮を団子状に丸めていれるとなかなか全体は分解されません。厄介ではありますが、なるべく広げるようにして入れ、母材にまみれたようにするのが分解を早めるのには望ましいことです。塊になった脂身などは場合によっては一週間以上たっても残っていることがあります。それらは手で攪拌して、塊をほぐしてやると早く消滅していきます。それはスコップではできないので、私は手でかきまぜることを推奨しています。
3母材の攪拌が重要―好気性菌には空気が必要
生ごみを投入したときに母材を良く攪拌することが重要です。生ごみを分解する微生物は好気性菌、すなわちその活動には空気(酸素)を必要とする菌です。我が家では味噌は自家生産していますが、こちらは嫌気性菌なので、空気が入らないように密閉して作ります。堆肥化過程を密閉すると腐敗が始まり悪臭を発生します。こうならないためには良くかき混ぜて空気を含ませるようにします。母材の下のほうは固く締まる傾向があります。母材全体を堆肥化に働らいてもらうためにも、良く掘り起こしてふわふわになるように、空気を含ませるようにすることが大事です。
反対に母材が嫌気性的状態になるのは、含水率が高くなって、べたべたした状態で、攪拌を怠って、空気が入らなくなった時です。こうした状態にならないようにすることが大事です。
4母材の含水率
堆肥化の適切な含水率は50~60%と言われています(1)。母材が乾いてきたなと感じたら、生ごみを投入する前に加水して均一になるように混ぜ合わせます。母材の上から水をかけてそのままにしておくのは厳禁です。下記染谷氏の本に「堆肥を手で握ってから手を開いたとき、堆肥の団子が少し崩れる湿り気がベスト」とありますが、これもなかなか判断が簡単ではありません。結局私は含水率の制御で時々失敗しています。腐敗が始まるほど含水率が高いということはなくても、好気性菌が不活発になることや、含水率が低くて温度上昇が悪いという失敗がときどきおこります。これらの例は後述します。
もう一つ含水率を別の方向から見ます。生ごみの80~90%は水分と言われます。文部科学省のホームページに掲載されている「食品成分データベース(2)」によれば、ハクサイや大根の水分量は95%,キャベツは93%です。大根100gを入れると、コップ半分の水を加えたことになり、大根のエネルギー量は少ないですから、母材の水分は増えるが温度はなかなか上がりにくいことになります。母材の温度が30℃以下の場合は蒸発量も少なく、ほとんどの水分は残ることになるでしょう。一方。母材温度が50℃、60℃を越える日が続くと蒸発量が多くなり、気が付いた時には乾燥気味になっているということもあります。
乾燥気味になっていると思った時は私は200~300㏄程度の水を数日続けて入れて様子を見ます。逆に水分過剰になっていると感じた時は、温度が高ければ、生ごみを入れずに攪拌だけして水分の蒸発を促します。含水率が高くべとべとの状態になっているときはもみ殻燻炭を加えると効果があるはずです。
冒頭のグラフで、最初の五日目以降に温度が低下していっているのは、加水を続けたことによる失敗で、後半の55日以降にある温度低下は60℃以上の日が二日続いたのに加水していなかったため、乾燥気味になったことによる温度低下でした。
(1)染谷孝『人に話したくなる土壌微生物の世界』築地書館2020
(2)https://fooddb.mext.go.jp(25年4月11日確認)
5温暖期と寒冷期
「堆肥化立ち上げ期」には温暖期と寒冷期に分けて説明しましたが、母材が50℃以上になってくると、季節による影響は大きくなく堆肥化を進めることができます。私の例では、温暖期には最高温度の平均が56.0℃に対して、寒冷期は52.1℃程度と、寒冷期のほうが低くなりました。しかしこれは異なるバッチであり、あくまで参考値です。先に触れたように、私はダンボール箱を室内に置いています。これを屋外に置いたらどうなるのでしょう。冬に気温が0℃にもなれば、ダンボール箱から沢山の熱が奪われることになります。母材が50℃、60℃という温度を維持できるでしょうか。私はやったことがないので断言はしませんが、冬場にダンボール箱を屋外に置くのはよほど対策をしないと難しいのではないかと思います。
624時間後棒状温度計での管理
これまでは温度センサーで測定した最高温度を中心に話を進めてきました。では棒状温度計だけで生ごみの堆肥化を行っている人はどう判断したらよいでしょうか。生ごみ投入から24時間後、その次の生ごみ投入前の温度を棒状温度計で測定した結果も最初のグラフに記しています。このグラフからすれば、40℃を越えていれば全く問題ないし、30℃以上を保持していれば生ごみは分解され堆肥化は進んでいると考えていいのではないでしょうか。
上記のグラフからは、また、30℃を切り、20℃近い温度が続くようであれば何か問題があると言えるようです。
ただし、ダンボール箱を始終屋外に置いたままにしている場合にも当てはまるかどうか分りません。
7熟成前の母材の様子
写真に示しているのは熟成前の母材の様子です。母材の量は、投入した生ごみが累計29㎏になっていても、最初とほとんど変わっていません。ダンボール箱の中身がどんどん増えてきて、一杯になるようであれば、生ごみが分解されていないことを意味しますから、母材は堆肥にはなっていません。何か改善する必要があるでしょう。


ダッチアイリス
2025年5月
